【インタビュー】柳生二千翔×佐藤岳ペア

―まず、自己紹介をお願いします。


柳生 女の子には内緒の柳生二千翔です。

佐藤 無隣館に所属しています、佐藤岳です。よろしくお願いします。


―お二人が創る「目尻がとろける」はどんな作品ですか?


柳生 佐藤くんには、ボーナスが入るたびに整形をする男性っていうのをやってもらいます。でも別に美貌を求めて整形するわけじゃないんです。どっちかっていうと機能を追い求めていく方。だから整形というよりカスタマイズですね。


―どうしてそういう作品にしようと思ったのですか?


柳生 今は残ってないけど、無駄な進化を遂げたものに興味があって。例えば、ブラウン管テレビにビデオがついた、テレビデオっていうのが昔あって、テレビにカセットビデオ入れるところがついててるんです。

佐藤 で最終的にテレビ、ビデオだけじゃなくて、ラジカセとかラジオとかの機能も足されたものもあったみたいで、「全部そのままくっつけました!」って感じですごく不恰好。でもそういうの面白いよねって二人で話して。

柳生 そういうものを俳優の体で舞台上にあげられたらなって思ってます。佐藤くんが無駄な進化を遂げて行く。これがあったら役に立つよねみたいな。テレビにカセットビデオついたらいいよねみたいな感じで、どんどん機能をつけて行くんだけど別に意味はなくなっていくっていうのがやりたいな。

この作品で、自分の体が自分のものじゃないような感覚を考えたくて。それって自分の体が言うことを聞かなくなるってことで老化っていうことにも繋げられそうで、広がりがあるなって今日の松井さんとのフィードバックワークショップで話してて思いました。


―「自分の体が自分のものじゃないような感覚」は実際に感じたことはありますか?


佐藤 僕は一回背骨を骨折して入院してるんで、自分の体が自分のものじゃない感覚すごいあります。折れたとこはやっぱり異物感あるし、折って以降肩こりもひどくなったし腰も痛いし、手足の震えとか筋肉の痙攣とかいまだにあるし。


―松井さんとのワークショップではどんな話が出たのでしょう?


佐藤 進化・カスタマイズって言ってもいろんな方向性があるよね、とか。

柳生 手や足が気持ち悪い、邪魔なものに感じられて切断したくなる病気があるんですって。機能を足すだけじゃなくて、あるものが余分に感じられて削るのも自分自身をカスタマイズすることですよね。足すにしても、便利だから足すのか、綺麗に見せたいのか、単純に興味があってやるだけなのか。いろんなカスタムがあるなっていう話をしました。

佐藤 でも最初に松井さんのワークショップやった時とはけっこう違うことやろうとしてますね。誰かと会話してるっていう体で一人芝居をお試しでやってみる回があったんです。それの延長線上にあるチームが多いと思うんですけど。

柳生 僕たちのチームはだいぶモノローグが多いですね。一応語る対象もいますけど。みんな口語でやるから口語じゃなくていいよって思って。

佐藤 みんな優等生的なやつなら、1組くらいよく分かんないのあってもいいかなって笑。


―自分の体が「もっとこういう風だったらな」と思うことはありますか?


柳生 ムキムキになりたいとかあります?

佐藤 まあちょっとはある。

柳生 ダルダルよりかはね笑。

佐藤 なんかムキムキっていうよりは、ムエタイとかキックボクシングとかチーター的な筋肉に憧れますね。

柳生 僕は「こうだったらいいのにな」はあんまりなくて、今の自分で満足してる。でもそういう欲求が出てくるのが老いなんだろうなって思う。体育の授業で50m走のタイムを毎年計るじゃないですか。10代とかは何も運動しなくても毎年ただ足が早くなってたけど、もうそんなことないですよね。無条件ではもう成長しないんだなって。


―二人でお話されるときはどんな感じですか?


佐藤 でもまだ2、3回しか会ってないですよね。毎回サイゼリヤで笑。

柳生 デートだったら怒られるやつですよね笑。作品に関係ないこともいっぱい喋ってますね。僕も岳くんもけっこう喋るし。

佐藤 まあ喋るために集まってますからね。

柳生 え、そんな義務感を持って喋ってたんですか?

佐藤 いやいや笑


―お二人は共通点が多いんですか?


柳生 あんまりないですよね。でもずっと喋ってます。

佐藤 運動ができないことくらい。明らかに文系っていう感じが見た目から漂う二人って感じしますね。


―今後どのように創作を進めていくのでしょうか?


柳生 演出が結構大変そうなんで岳くんと一緒に考えていく感じになると思います。体をよく使う芝居になりそうだなって想像はしてます。

佐藤 運動ができないもの同士、頑張ります。


―柳生さんは普段の作品ではあまり体は使わないのですか?


柳生 普段も体は使ってますが、今回は喋ってることと体とのズレとかもやりたいので、違うベクトルで作っていこうと思ってる。二人で作っていくっていう言葉がぴったり来ます。


ー最後に、お二人の意気込みを聞かせてください。


柳生 唯一の男性チームなんで、男性がみた人間の体みたいなことをやれたらなって。僕は男性とがっつりやったことがあんまりないし、しかも一人芝居だしで初めてのことが多いんですけど、なんか、岳くんとはすごくやりやすいです。面白くできるかなって思ってます。男性の一人芝居は初めてなので、僕の作品を気にしてもらってる人も、いつもと違う風に描けるかなって思ってるので、よかったらみに来てください。

佐藤 僕も一人芝居は初めてです。せっかくこういう企画があってチャレンジできる場があるので、面白いものをお届けできればと思います。


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-素舞台 -ひとり15分 -俳優×演出家による台本 という3つのルールのもと、俳優と演出家がペアになり、1対1の創作にのぞみます。 監修の松井周さん(サンプル)のWSからスタートしたこの企画を発展させて、俳優と演出家の対話からうまれる作品づくりを行います。自作自演も含め6作品の上演を予定しています。公演詳細はこちら→https://ticket.corich.jp/apply/98354/

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