―自己紹介をお願いします。
福名理穂(以下、福) ぱぷりかという劇団を主宰しています。「蒼く戦ぐ」の作・演出を務めます。よろしくお願いします。
深澤しほ(以下、深) 今回福名さんと組みます。ヌトミックというカンパニーに所属しています。
―「蒼く戦ぐ」はどんなお話ですか?
福 深澤さんの体験をもとに、セクハラやモラハラを受けていた上での葛藤や志を呈したお話になりそうです。
―セクハラやモラハラがテーマの作品とのことですが、作品の雰囲気は重めになるのでしょうか?
福 別に重くしたくはないんです。すごく転がってる問題だと思うから、テーマを重く捉えるっていうより、もっと、なんだろ、言葉にするのが難しいんですけど、「違うんだよ、転がってるのになあ」みたいな。
深 作品を考えていく中で、色々と当時を思い出しながら、それが今現在の私にどう影響しているのかって考えたんですけど、結果的に私はもう乗り越えた側なので、ぜんぜんポップな話にしちゃっていいと思うんですよね。ポップって言い方あってるかな。登場する社長にしても、今はすごく“人間”だなって、バカだなって感じで見れるし、当時の自分も、「あー若かったんだな」って思える。語弊があるかもしれないけど、おもしろい体験だったなとも思うし。別に全然重くないですけどね。でもやっぱり言葉にすると、セクハラとかモラハラとか、重い感じになっちゃう。
福 でも、私が思ったのは、やられた側は鮮明に覚えてるんだなってこと。乗り越えてたとしても、やられた側には記憶が残って、それを持って人生が続くんだなって。そういうことも作品の中で見せたい。
深 男性に対する接し方とか考え方は、セクハラを受けた体験から知らない間に自分の中に根付いてるなってことに福名さんと話してて気づいたんです。だから、乗り越えはしたけど、自分の中に刻み込まれてるエピソードなんだなって思います。
―お二人で話し合いながら作っているんですね。
深 今回の企画って、一緒に作ってるっていう感覚が強くて。監修の松井さんとも話せる、作・演出の福名さんとも意見交換ができる。それがすごく新鮮で、いいなって思います。自分の体験談だからっていうのもあるのかな。
―ここまでの稽古や打ち合わせを経て、お互いにどんな印象を持っていますか?
福 はじめの頃の松井さんのワークショップの時に深澤さんが話してたエピソードはダークなものが多くて、それがすごくおもしろいなって思った。私がやってみたいけどできなかったことをやってる方だなって思って。どんなことがこの人から出てくるだろうっていう興味がすごく湧いて、深澤さんとやりたいですって実行委員会の人に言いました。何回か会って話してるうちに、自分と似てる部分とか、芝居に対しての姿勢や抱えてる問題で共通点も見つかってきました。
深 福名さんは、人の話をすごく丁寧に聞いてくださるんですね。だから私も、できるだけ考えてることとか思っていることとかをちゃんと言葉にしたくて頑張るんです。そういうお互いのささやかな緊張感とやりとりがとても楽しいです。信用できる人だって思ってます。
―最後に、お客さんに一言お願いします。
福 特別なものでも劇的なものでもなくて、とんでもなく日常にある出来事だっていうことを踏まえて、でも気軽に肩の力を抜いて観て欲しいです!
深 実体験を舞台上にあげるのは初めてです。でも舞台上にあるってことは全てがフィクションだってことなので、私としては楽しんでくれたら、それでいい。問題提起的な作品にはなると思うんですけど、どうか笑ってやってくださいとも思う。でも笑ってるあなたはどうなんですかとも思う!お客さんに一言って難しいな。
福 笑うってことだけが楽しむってことじゃないってことですよね?
深 そうですね!印象に残る作品になったらいいな。
福 何か日常の引っ掛かりになったら嬉しいです。
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